View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 30, 2012

一国の宰相は博打をしてはいけない -

野田佳彦首相は小沢一郎元代表との会談について、記者団に「乾坤一擲だ」とか「一期一会だ」と語りました。「乾坤一擲」というのは天と地をひっくるめてえいやっと投げ飛ばすということで、のるかそるか、生きるか死ぬかといった一生に一度の大勝負の時に用いる言葉です。一国の宰相たる者は、こんな重大な言葉を使うべきではない。本人の頭の中は「一世一代の大勝負に臨むのだ」ということで、興奮状態なのでしょうが、宰相の判断ミスは一億国民の運命に関わります。オールオアナッシングといった賭けは絶対にしてほしくありません。常に冷静に、いかにカッコ悪くとも「次善の策」を用意し、淡々と「必ず勝負に勝つ道」を模索すべきです。首相はここのところ「言葉が滑りすぎ」です。「不退転の決意」「政治生命を懸ける」それに今回の「乾坤一擲」など、言葉本来の意味を理解していないように見えます。はたして30日午前の小沢氏との会談は平行線でものわかれでした。これが乾坤一擲の決意で臨んだ結果だとしたら、あまりにも惨めではないでしょうか。

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COMMENTS

1 : 悠々 : May 30, 2012 09:23 PM

野田佳彦首相の言葉遣いは大げさというか、本当の意味を知って使って居るとは思えないです。
よくスポーツ用語もお使いですが、的外れは用法であると思うことがあります。
「言葉は神なりき」なのですから軽々しく扱ってはいけないです。
野田佳彦首相の周りでどんな人がフォローしているのか知りませんが、政敵の事を知らなすぎます。
この人に日本を任せては置けないというのが近頃の私の感想です。

2 : Sako : May 30, 2012 09:33 PM

先生のコラムで最も学んだ事の一つには「言葉の重要性」があります。
安易な漢語や英語の使用に警笛を鳴らされていらっしゃいます。
難しい言葉に覆われた、思想の軽さを指摘されているのだと認識しておりますが、私の考え過ぎでしょうか?
「指導者の質は、その国民の質を上回ることはない」と言いますが、我々の劣化がこうした首相を輩出し続ける原因でしょうか?
今、橋下氏が飛ぶ鳥を落とす勢いで、どの様に分析されていますでしょうか?
質問が多くて申し訳ありません。

3 : 湖の騎士 : May 31, 2012 02:28 PM

悠々様 野田佳彦首相の「日本語感覚」は一般常識からはだいぶかけ離れています。一党員にすぎない小沢一郎氏に会うのに「乾坤一擲」とはなんと情けないことかと思います。昨日の野田ー小沢会談について、自民党の谷垣総裁も石原幹事長もはなはだスケールの小さな当てこすりを口にしていますが、みんなの党の渡辺喜美代表は「小沢さんの言ってることの方が正しい」と語っています。消費税増税についての野田首相の言い分は、世論の支持を得ていないことは明らかです。人は言葉によって考えます。その最も肝心な言語感覚が狂っているとしたら、そうした言葉から紡ぎ出される「思想」もまた狂います。こういうお粗末な言語感覚の持ち主に日本の運命を託するわけにはいきません。度胸があるのなら衆議院を解散して自分の信念を世に問うべきです。

4 : 湖の騎士 : May 31, 2012 02:51 PM

Sako様 コメントありがとうございます。難しい言葉を使うことによって、自分はえらいのだと思いたがる人が多いです。しかしそういう人物はおおむね「軽い」ものです。ご指摘のとおりです。日本の有権者の質が劣化したから、指導者の質も劣化したというふうには私は考えません。指導者の劣化は、国会議員を選ぶシステムの劣化、彼らが受けてきた教育の劣化、石ころを珠玉のごとく持ち上げるマスコミの無責任さ、有名候補とただ握手をしたというだけで興奮し舞い上がる有権者のミーハー性などいろんな要素が絡み合ってのことです。どこから具体的に治していくか、その方法論が問題です。最後に橋下市長についてです。得難い人材であり大仕事をしてもらいたいと思っています。ただひとつ気になるのは、4月ごろまで彼は原発の再稼働に否定的でした。そして私と推進派のどちらが正しいかを有権者に決めてもらおうじゃないか、と啖呵を切りました。こういう大事な問題を「世論」に決めさせて、その結果に従うという発想はいただけません。世論は往々にして間違うものです。それに気がついた為政者は、情理を尽くして大衆を説得し、自分が正しいと思うことに賛同してくれるように誠心誠意務めるべきです。橋下氏の場合、この「自分が正しいと思うこと」がないようです。そこが危険です。孤立を恐れず、信念を貫ける政治家に育ってほしいものです。