View of the World - Masuhiko Hirobuchi

September 03, 2012

思惑でワニに餌をやる宥和主義者 -

日本には国際的もめ事が起きた場合、「なるべく事を荒立てない」で「問題を先送りするのがよいのだ」と考える人が多くいます。とくにもめ事を起こす国が強大な力を持っている場合には、「平和的に」「話し合いで」解決しようとします。こういう人々を諸外国では「宥和(ゆうわ)主義者」と呼びます。宥和主義は「平和主義」と語呂がよく似ているために、日本では「よい事」のように思っている人もいますし、こういう政治的・外交的態度を取っている自分は正しいのだ、と思っている政治家や官僚が多いのも事実です。しかし少なくとも英語圏では「宥和主義者」は軽蔑の対象です。1939年、急激に力をつけてきたドイツのヒトラーに対して、時のイギリス首相ネヴィル・チェンバレンは、「事を荒立てない方がよい」と判断し、宥和策に打ってでました。しかしヒトラーはイギリスのこの弱腰ぶりを見て、さらに他国を侵略してもイギリスもフランスも文句は言わないだろうと判断し、ポーランドとチェコ・スロヴァキアに電撃的に侵攻しました。これが第二次世界大戦を引き起こすきっかけとなりました。「宥和主義(アピーズメント)・宥和主義者(アピーザー)」というのは、現在に至るまで屈辱と軽蔑の代名詞になっています。なぜ今ここで70年以上も前のヨーロッパのことを語るのかといえば、どう見ても現在の政権のトップにいる人々は、人類にあれだけの惨禍をもたらした「アピーズメント」なるものの本質を理解していないと思えるからです。その最たるものが、尖閣問題であり、従軍慰安婦問題です。事を荒立てないようにしようとすれば、かならず事は荒立つものであり、尾を引くものです。どうも民主党にはチェンバレンが多すぎます。彼の後を受けて首相に就任し、ヒトラーとの苦しい戦いを勝ち抜いたウィンストン・チャーチルが言っています。「宥和主義者というのは、ワニに餌をやりながら、人間を食うにしても俺を食うのは最後にしてくれよ」と願っている男のようなものだ」と。これにはもう少し詳しい解説が要ると思いますが、今日はここまでにしておきます。

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COMMENTS

1 : 悠々 : September 4, 2012 07:46 AM

「宥和主義」は「事なかれ主義」と同意義だと思います。
事なかれ主義は日本でも余り褒められた対処法とは思われていないと思います。
勇猛果断とまでは行かなくても、ハッキリした態度で事に臨んで欲しいです。
増税にはあれほど熱意を燃やしたのですから領土問題でも、都のやり方に文句をつけるだけでは芸がなさ過ぎます。
財源不足を、即増税に結びつけるしか能のない単細胞の首相には
尖閣問題などは何の考えも浮かばないのでしょう。
この大事な時に国会は休眠状態だし、本当に嫌になります。

2 : 湖の騎士 : September 4, 2012 09:26 AM

悠々様 コメントありがとうございます。民主党にも政府にも中国が凶暴なワニだという認識がなさすぎます。1000人規模の漁民を装った軍隊が大挙して尖閣に押し寄せた場合にづするのか? 検討すらしていないそうです。昨夜の「TVタックル」で防衛副大臣がそう言っていました。まさに危機に対する「想像力の欠如」です。とにかく早く政権が変わってほしいです。