View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 12, 2012

大リーグはなぜ面白いのか? -

ここのところアメリカ大リーグは連日熱戦を繰り広げています。日本時間の12日もその前の11日も、ヤンキースとオリオールズの試合は1点差で、しかも延長13回(12回)までもつれ込みました。とにかく飽きさせない試合ばかりで、これで両者は2勝2敗です。西海岸では、タイガースとアスレティックスが同じく2勝2敗。ナショナル・リーグも似たような展開となっています。では大リーグではなぜこのように力が拮抗しエキサイティングな試合が続くのか? それは入場料をはじめとする収益金が、一度コミッショナーの下に集められ、コミッショナーの裁量によって個々のチームにお金が行き渡るようになっているからです。各球団の自主性は尊重しつつも、金にあかせて有名選手を独り占めしたりできない仕組みになっています。日本では球団のオーナーの権限が強く、コミッショナーはいわばお飾りで権限はありません。人気球団、富裕球団がどしどし優秀選手を獲得できるのに、弱小球団は毎年のように下位に低迷しています。もっと球団間の格差を縮めるために、アメリカ方式を取り入れたらよいと思うのですが、それができないのが日本の現状です。面白いのは、企業間の競争においては、アメリカは日本よりはるかに自由であり、国や自治体から企業への干渉はずっと少ないことです。しかし野球は、自由競争であればいいというものではない。国民共有の財産であり文化です。そうした公共財的な産業を守り地域格差をなくすためには、私企業の自由をある程度制限することも正義なのだという哲学(理念)が行き渡っているのがアメリカです。今年の日本は巨人が圧勝し、はやばやと優勝を決めてしまいました。渡辺恒雄さんと巨人ファンは大満足でしょうが、「これではちっとも面白くない」と感じている人の方がはるかに多いと思います。どうすればいいのか、皆なで考えたいものです。

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COMMENTS

1 : 悠々 : October 12, 2012 11:26 PM

私も大リーグの試合を楽しんでいます。
イチローが新チームでも頑張っているのは嬉しいです。
只、面白くないのは日本の解説者とアナウンサーの饒舌です。下手なことを言うより黙っていてくれた方が良いです。ですから私は分からなくても英語放送の方に切り替えて見ています。
日本の野球はパ・リーグの方が面白いです。パ・リーグの人気が徐々に上がっているのを巨人の経営者は気づかないのでしょうか?
私は弱小チームだった日ハムがリーグトップになったのでとても嬉しいです。勝ち負けのさも僅少で最後まで楽しめましたしね。

2 : K : October 13, 2012 12:47 AM

私の好きなNHLは収益金の配分をめぐる選手とオーナー側との交渉がもつれて、今季は開幕延期となってしまい先行きも見えません。MLBも何年か前にストで同じようにシーズンがキャンセルされた事がありました。必ずしも良い事ばかりではないようです。
戦力均衡に役立っているのは、完全ウェーバードラフトの方ではないでしょうか? 弱かったチームには期待出来る将来のスター選手が入団したり、ドラフト権そのものをトレードに使って、計算出来る選手を獲得したりできます。新人選手は希望するチームには入団出来ないかもしれませんが、その分移籍条件を緩くして流動化させています。
日本ですと、Jリーグはチームによってかなり戦力や予算格差がありますが、今年は広島や仙台のような、決して裕福とは言えないチームが優勝を争っています。また、20年前に10チームで開幕したリーグは、今や2部を入れて40チームになっています。一方で日本のプロ野球はチーム名こそ変わっても新規参入がありません。そこにマンネリ感が産まれているのではないでしょうか?

3 : 湖の騎士 : October 13, 2012 12:10 PM

悠々様 コメントありがとうございます。大リーグ中継で日本の解説者とアナウンサーの饒舌に我慢できずに英語放送に切り替えておられるとのこと。全く同感です。今後私もそうしてみます。4日ほど前の朝日新聞夕刊に向井万起男さんという慶大医学部の準教授が「大リーグ大好き」というコラムを書いていました。その中で、エルヴィス・なんとかという選手(ホームチーム)がホームランを打ったときに、エルヴィス・プレスリーのヒット曲が流れた。そのあとのイニングで彼がまた快打を飛ばした。ふたたび同じ曲が流れた。これは球団の実に粋なはからいだった。しかしNHKの解説者もアナも、この曲についての言及は全くしなかった。あるいは前にすでに述べていたのかも知れないが、残念だったーーと。私は解説者にもアナにもこのプレスリーの曲のことは分かっていなかったのだと思います。一球ごとの細かい解説はできても、ゲーム全体を見渡した分析はできない解説者が、こうした球団のセンスを理解する力を持っているとは思えません。パ・リーグの人気が高まっているというご指摘にも全面的に賛同します。最近の若者たちの好みを聞いていても、「パの方が面白い」という意見の方が多いです。セのおえら方も、巨人関係者も早くそのことに気付いてほしいものです。

4 : 湖の騎士 : October 13, 2012 06:35 PM

K様 コメントありがとうございます。NHLといい、MLBといいそれぞれに問題を抱えていて、たまにしか見ない人間が思うよりはよほど複雑のようですね。MLBのチーム力が日本よい均衡している最大の原因が「完全ウェーバードラフト」ではないかというご指摘は正しいと思います。これに金銭の再配分方式が加わってMLBが活性化していることは確かでしょう。本稿の狙いは「自分の球団が強ければそれでいいのだ」と思っている実力者が日本にいて、このミスター老害にだれも逆らえないことをあらためて言いたかったことです。この人がもっと「プロ野球全体の繁栄」を考えるようになれば、野球は今よりはるかに面白くなるだろうと思います。しかしもはや彼にはそうした柔軟さは望めないでしょう。「分かっていて衰退に向かっている」例は、野球のほかにもたくさんあります。政治はその最たるものです。官僚機構はもっとタチが悪いです。どうすればよくなるのか? 気の重い話ですが、諦めずに改革の道を探っていきたいです。