View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 21, 2013

「万里の長城」を訳せない通訳 -

前回の記事「自国の文化を知らないと通訳は務まらない」について、尊敬する先輩の一人からメールをいただきました。その中でこの人は数年前に同じ外国人記者クラブでの体験を披露してくれました。会見は中国に関するものでした。スピーカーは英語で話しましたが、その中で彼は「Great Wall」という言葉を何回か使いました。それを若い日本人女性の通訳は「大きな壁」と訳したそうです。さすがに聴衆の間から「それは『万里の長城』と訳すべきだよ」という声が出たそうです。テーマが中国で「Great Wall」と来れば「万里の長城」と訳すべきなのは常識中の常識だと思いますが、「大きな壁」としか訳せない通訳がいるのもまた日本の現実です。数年前のNHKテレビでも、アメリカを扱ったニュースかドキュメンタリーで、「Civil War」を「市民戦争」と訳していました。これは「南北戦争」と訳すのが常識です。今でもアメリカ以外のニュースで、「civil war」を「市民戦争」と訳している例は多々あります。ここは「内戦」とすべきです。Court Martialを「軍事法廷」と訳す例はしばしばです。「軍法会議」が正しい訳です。言葉を誤訳すると、その言葉が包含する中身まで誤って伝えられます。私たちは「誤訳の渦」の中にいるようなところがあります。よくよく気をつけて、世界を見る目を養いたいものです。

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