View of the World - Masuhiko Hirobuchi

September 03, 2013

新島襄の来訪にきゃーきゃー騒ぐ女学生 -

NHKの大河ドラマ「八重の桜」の話。8月25日(日)放送の分で、はじめてヒロインの八重がのちに夫になる新島襄に会います。彼女が舎監を務める女学校に襄が見学に訪れます。そのとき、若い男子などが訪ねて来ない学校の生徒たちは興奮して「きゃあー」と嬌声を挙げます。それがしばらく続きます。ディレクターの感覚では、今ならさしずめ「嵐」のメンバーの一人が、訪ねてきたようなものだから、女の子たちがきゃあきゃあ言うのは当たり前だと思ったのかも知れません。しかし時は明治8年の京都です。こんなことは起こりえないのです。若い男がやってきたからといって、こんな嬌声を挙げるなどは「はしたないこと」「みっともないこと」「恥ずべきこと」の時代でした。それが世間一般の常識であり美徳でした。日本古来の感覚から言っても、いかに男子に興味があってもそれを表に出すなどはしてならないことでした。国際比較で言えば、イギリスはヴィクトリア女王の時代です。この時代は女子の躾けも教育も厳しいことで有名でした。恋愛に関してもじつに厳しい掟がありました。それがアメリカにも日本にも他の文明国にも影響を与えていました。教師たちも女学生教育にきわめて厳格で、もしこの番組に出てくるような生徒がいれば、こっぴどく叱られるか場合によっては放校処分になっていたでしょう。番組のディレクターにはそうした常識も教養もなかったのだと思います。とにかく「現在の価値観」「現在の常識」で歴史を扱うことは許されないことです。番組を作るものは、もっと謙虚に真摯に歴史に向き合ってもらいたい。ましてや受信料という「公金」で番組を作る者は、絶対に自分の好みや感性で歴史をねじ曲げるべきではありません。

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COMMENTS

1 : 悠々 : September 3, 2013 06:50 PM

広渕先生がこのドラマをご覧になっておいでとは意外でした。
私はNHKのこの番組の宣伝放送の時から、うさん臭い感じがして居ましたから見ようと思いませんでした。
時代考証なんて事は考えもしないのでしょうね。周りのものも気付かないのでしょうか?
時代劇は昔の作品を見た方が安心してみられます。
セットもしっかり作っているし、時代考証もキチンとされています。今のディレクター連中にそういったものを求めるのは無い物ねだりです。見ない方が心が安まりますよ。

2 : 湖の騎士 : September 4, 2013 09:36 PM

悠々様 コメントありがとうございます。幕末物のドラマは薩長側から描いた物、坂本龍馬のような脱藩浪士が活躍する物、新撰組などを見てきましたが、戊辰戦争で敗れた会津から見たドラマはたしか「八重の桜」が初めてで、「どういうふうに描くのか」に興味があり、第一回目からずっと観てきました。少しくどすぎたり、かったるいと思えることが多かったのですが、それでも勉強にはなりました。ですが今回の「きゃーきゃー女学生」はいけません。こういう調子で歴史をねじ曲げて平気な体質がNHKにはあるようです。このドラマだってきちんと作れば海外に輸出できるだけの大題材のはずです。しかしディレクターにはそんな意識なんか毛頭ないようで、そこが残念です。「見ないほうが心が安まりますよ」というアドバイスは素直に受けるべきですが、ここまで来たら精神衛生には悪くとも最後まで観ようと思っています。「

3 : JC : September 10, 2013 09:32 PM

逗子のJCです.つい先日まで新島先生の教会に通っていたことと,母校の開学者が元会津藩であったのですが…今のご時世案の定アイドル紛いのドラマは出来ても,きちんとした歴史考察に基づいたドラマはできないのでしょうね…
来年は黒田官兵衛さんですが…期待薄です…

4 : 湖の騎士 : September 11, 2013 11:03 PM

逗子のJC様 コメントありがとうございます。新島襄先生の教会に通っておられ、しかもご出身校の開学者が元会津藩士だったというのは驚きです。新島先生も今のアイドル並みに扱われたのでは、さぞかし苦笑なさっていることでしょう。NHKのディレクターは、もっと「公金で番組を作っているのだ」という緊張感を持ち、先人の業績への「畏敬」の念を抱いてほしいものです。歴史を勝手に改竄するなどはもってのほかで、そういうひどい番組を作った自分もまた後世の人々から裁かれるのだという自覚を持つべきです。