View of the World - Masuhiko Hirobuchi

December 19, 2013

サウジは石油戦略を発動するか? -

今まで、サウジアラビアが自国の存在そのものを危うくしかねないアメリカの外交ふらつきに激怒していることを書いてきました。シリアの最大のバックになっているイランは、ホメイニ師のころからさかんにラジオを使ってサウジの民衆を煽り、「蜂起して腐敗した王家を倒せ」と呼びかけてきました。イスラム教の正統派・多数派であるスンニ派のサウジアラビアと対立するシーア派のイランは、サウジにとって最も危険な存在です。そのイランが核兵器を手にした場合の恐怖を考えずに、イランやシリアに甘い政策に転換したアメリカは許せないという気持ちが、サウジの政権トップに渦巻いています。そこで彼らが考えているのが、原油の増産戦略だといわれます。実際に増産しなくても、増産を発表するだけで、神経質な市場はたちまち敏感に反応するでしょう。その結果は原油価格の暴落です。これによってサウジ自身も大きな打撃を受けます。しかし世界から経済制裁を受けて弱り切っていたイランが、ようやく自国の石油を売れると期待していた矢先に蒙る痛手は、これよりはるかに大きいでしょう。イラン・シリアの後押しをしているロシア経済を支えているのも、高価格の石油です。その価格が大幅に下がれば、ロシアの受ける打撃も大変なものになります。最近ではアメリカはシェール石油・シェールガスの生産が軌道に乗り、外国からの輸入に頼らなくてもやっていけるという情報が流れていますが。これは原油価格が高止まりしていればこそ採算が取れる話です。専門家の話では、1バレルが80ドルくらいしていないと、とてもシェールオイルは採算が取れない、つまりコストがかかりすぎるというのです。アメリカもまた大打撃を受けます。かくてサウジの安全についての感度がにぶいロシアもアメリカも大きく弱体化し、当のイランもシリアもさらに疲弊するというシナリオが描かれていると見られています。はたしてサウジはこの危険な石油戦略を発動するでしょうか? 日本国内の政治にばかり目を向けていないで、時にはこうした視点から世界の平和・安全を考えてみたいものです。

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