View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 13, 2014

住民保護という欺瞞 -

ウクライナ危機に際してロシアはクリミアを制圧しました。プーチン大統領は「現地のロシア系住民の保護のためだ」と開き直っています。これは19世紀に、アメリカがメキシコからテキサスを奪い、ハワイ王国を滅ぼしたときの理屈にそっくりではないですか? 短い記事ですが、お一緒に考えてみたいと思います。

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COMMENTS

1 : 青柳武彦 : March 13, 2014 08:58 PM

 このケースは、例えば沖縄の住民が沖縄は中国に帰属した方が良いと沖縄県議会で決議した場合に、中国が沖縄住民保護を名目として軍隊を出してきて沖縄を強引に中国領にしてしまうようなものですね。
 米国がこれを阻止することができれば、オバマの今までの無為無策の汚名はだいぶ拭い去ることができるでしょう。また、その場合に中国は米国の出方をどのように読み取るでしょう?? このケースが尖閣問題に与える影響は大きいでしょうから、対岸の火事ではないですね。             青柳武彦

2 : 湖の騎士 : March 15, 2014 10:55 AM

青柳武彦様 コメントありがとうございます。私が考えていた懸念は、お考えの懸念と完全に一致しています。まさか対馬に今の住民を上回る韓国人が移住してきて、韓国が「住民保護のため」などと言うような暴挙に出ることはないと思いますが、沖縄の場合は「大いにありうること」でしょう。ウクライナ危機から、このくらいの連想を働かせるようにならないと、日本は危ないです。

3 : 悠々 : March 15, 2014 11:03 AM

領土の奪取という問題は、全て武力の勝る国が、武力の劣る国から力で奪い取って来ました。
日本でも蝦夷はアイヌ民族から奪ったものだし、アメリカもインディアンから奪ったものです。
国際世論とか国際法などは強大な武力の前には無いも同然の存在です。
ウクライナの問題も国連安保理で討議されては居ますが、ロシヤが拒否権を行使するのは目に見えています。
尖閣諸島に中国軍が上陸するのもそう遠い事ではなさそうです。
現に韓国が竹島に軍事拠点を設け韓国軍が常駐していますが、日本は手をこまねいているだけです。
現日本国憲法は、世界中の国々がジェントルマン精神を持っていて、それを基に行動するという、あり得ない設定を前提にして成り立っています。
阿部さんも憲法解釈の拡大解釈なんて粗忽な手段ではなく、世界の現状をきちんと国民に説明し、憲法を改正して事に望むべきです。
阿部さんがもしプーチン大統領から平和的な交渉だけで北方四島を取り返せたら、佐藤元総理と同じ、ノーベル平和賞を受賞できるでしょうが、ロシアが四島を平和裏に返還するなどと言うことはあり得ません。
沖縄に関しては、中国が琉球王国は元来中国の属国であった、それを日本が強引に日本に帰属させたのだ、という論法で来るなら、住民投票など無くとも中国の沖縄侵攻はあり得ることです。
理屈と膏薬はどこにでもっくっつくと言うのが日本の諺にありますからね。

4 : Sako : March 15, 2014 12:52 PM

自国民保護の名目で軍を派遣するのは、先生がおっしゃられる通り、帝国主義的で、嫌悪感を催させます。
ウクライナの問題では、新政権側にネオナチの連中(自由党)がはいってきており、一概にロシアが悪いとも言えないと考えます。
デモで、黄色の下地に黒のハーケンクロイツを模した旗が振られてもいました。

5 : 泥田の落ち武者 : March 15, 2014 10:03 PM

湖の騎士様、

生意気を申し上げるようですが、私は今回の事態を引き起こした、或いは悪化させた責任は米国とEU側にあるように思えます。

結論から申しますと、ウクライナの暫定政権が成立した段階で、正当性の怪しい反ロシア暫定政権に米国とEUは一方的に肩入れしすぎたように思えます。確かにウクライナの国内問題ですが、ウクライナのEU加盟、或いはその先に予測されるNATO加盟は、ロシアの意向・利益・権益を無視した形では必ずやロシアの反発を招き、現実に今回のクリミア進駐という事態となりました。

ご案内の通り、ロシアの伝統的な安全保障政策は①国境を可能な限り遠くに置く、②不凍港を確保する、というものかと存じます。そしてこの2つを直撃したのが今回の米国とEUの対応ではないでしょうか?

ウクライナはロシアにとって「柔らかい脇腹」であり、同時に黒海、地中海への出口、またカフカス地方への影響力を確保する上での要地です。ここに手を出すということが、ロシアの安全保障、国益にとってどれほど重大な影響を及ぼす問題か、米国とEUが分かっていなかったはずは無いでしょう。なぜ彼らは反ロシア的な暫定政権を一方的に支持するという政策を取ったのか?より中立的なアプローチをとり、ロシアとウクライナが対立するという事態をまず回避する、というオプションもあったはずです。

私が理解できないのは米国とEUがウクライナで何をしたかったかです。単なるスケベ根性でEU或いはNATO圏を東に拡大したかったのか、それともウクライナの政治的安定を取り戻したかったのか?
後者であれば、ロシアを含まない形でのウクライナの安定はあり得ません。プーチンの眼に前者のように映ったとしても不思議はないと私には思えます。といいますか、私がプーチンの立場であれば、私も何らかの形でクリミア進駐を決断していたと思います。

オバマ政権の悪癖は、リベラリズムを国際政治の場に持ち込みすぎるところだと思いますが、今回もその悪癖が出たように感じられます。「ロシア寄りの前政権に弾圧されているウクライナの民主主義を救う!」というナイーブな考えで行動を起こしたのでは?という気がします。

さらに事態を悪化させたのは、ロシア軍によるクリミア進駐後の米国のメッセージではないでしょうか?「軍事力は行使しない」が「ロシアは大きな代償を支払う」という、オバマ・ケリーコンビの十八番ともいうべき中途半端なメッセージです。なぜロシア軍の展開がセバストポールとシンフェロポリに留まっている間に、米軍、ウクライナ連合軍をドニエプル川の北岸にでも送り込み、同時に空母1個戦闘群を黒海に送らなかったのか?ロシアにとっては「ウクライナの統一性を米国は守る」という明確なメッセージとなったはずです。議会もこの行動を承認したでしょう。

住民投票ですが、民族自決という第1次大戦後に確立されたルールに無理矢理ですが、則っているといえば則っているのでしょう(正当性は????ですが)。また、旧ユーゴ地域や、最近の南スーダンの例を見る限り、内紛の後に住民投票で独立というケースは比較的多く見られます(無血でのケースも多いですが)。

で、最大の問題はどこを落としどころにするかですが、ロシアがクリミアをあっさり手放すとは思えませんし、例えロシア軍が元通りセバストポールの軍港に戻ったとしても、一端火が付いたクリミア半島でのロシア系住民の独立への希望は消せないでしょう。最悪の事態としてクリミアを含む、ウクライナ南部・東部でのロシア帰属派、反帰属派の内戦の可能性も否定できません。騎士様からの叱責を覚悟で申し上げるなら、クリミアのロシアへの「編入」ではなく、ウクライナからの「独立」が現実的な解の一つではないでしょうか。(もちろんロシアにはそれなりの条件を飲ませる必要はあるでしょうが。)

尚、尖閣諸島、先島諸島への中国の進駐が懸念されていますが、日米が中国に対して行うべきことは、「尖閣は絶対に守る」という明確なメッセージを発する事と、それを明確な行動に示すことが肝要かと。中途半端なメッセージと行動は、クリミアの二の舞となることを我々は肝に銘じるべきかと。

6 : 湖の騎士 : March 16, 2014 09:24 PM

悠々様 コメントありがとうございます。いただいたご指摘のほとんどすべてに多くの方が賛成なさると思います。私も全く同感です。オバマ大統領は「ロシアへの制裁を強化する」と言い、「ロシアは高い代償を払うことになる」とプーチンを脅かしたつもりでいますが、そんなことはプーチンにしてみれば「すべて織り込みずみ」のことであり、打撃なんかにはなりません。世界がこれだけの危機に見舞われている時に、決断力を欠き、国際政治の行方も読めぬ大統領がホワイトハウスにいるというのは、世界の人々にとっても日本にとっても本当に不幸なことです。

7 : 湖の騎士 : March 16, 2014 09:36 PM

Sako様 コメントをありがとうございます。プーチンの言い分を他の紛争地域にすべて押し付けようとすると、世界は大混乱に陥ります。いかに不自然でも、2か月前の状態に戻すべきです。しかしロシア軍の介入は「オバマ自身が招いた」ともいえます。シリア紛争を「化学兵器を廃棄させるから米は軍事介入するな」というプーチンの提案にやすやすと乗ってしまった時から、プーチンはオバマを完全にみくびってしまいました。犬の遠吠えのように、「ロシアは代償を払うことになる」といくらオバマが叫んでも、プーチンは怖くもなんともないでしょう。そこへもってきて、ウクライナの新政権の側にナチの残党のような連中がいるとなれば、なおさらプーチンの立場は強化されます。アメリカは事態収拾の目に見える姿を思い描けていません。

8 : 湖の騎士 : March 16, 2014 09:47 PM

泥田の落ち武者様 コメントありがとうございます。ご指摘の諸点は、けっして生意気でもなければ、現実ばなれしたものでもありません。非常に冷静に客観的に全体を見渡し、鋭い分析を加えておられます。私のブログをお読みの方は、思想的にも心情的にもけっしてどれか一方の勢力に加担する人々ではありません。皆さん柔軟でフェアな方々です。時にアメリカに厳しく、シリアやイランを支持するロシア・中国を批判するといった「良識」ある人々です。そうした方々が、このコメントを支持されていると思います。視野が幅広く、表面に現れた現象の底を流れている「本質」を見通したコメントです。本当にありがとうございます。