View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 25, 2014

損得で動くプーチン 理屈だけのオバマ -

G7のメンバー各国はロシアに制裁を科すと言い、G8から」ロシアを」締め出しました。しかしロシアの外相は「痛くもかゆくもない」という顔をしています。オバマ大統領はロシアがクリミヤで行ったことは違法であり、認められないと言っていますが、今回のような紛争に際しては「早く軍事力を用いて侵攻した者の勝ち」であることは、歴史が示す常識です。プーチンの行動は、昨年秋にシリアへのアメリカの軍事行動を思いとどまらせるために「化学兵器を全廃させよう」と提案した時から「読めた」ことです。オバマが深い考えもなく、やすやすとこの提案(実は罠)に乗ったことで、プーチンはオバマを完全に舐め切りました。「この男は口先だけで、のるかそるかの大きな決断はできない」と見抜いたのです。その侮りが今回のすばやい行動に結び付きました。これは損得勘定から言ってはかり知れないほどの大成功でした。オバマはいまさら何を言っても遅すぎます。しかし、ロシアの横暴をこのままにしておいてよいわけがない。表面だけでもなんらかの「譲歩」を取り付けたい西側です。

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COMMENTS

1 : 悠々 : March 28, 2014 09:44 AM

今回の出来事はプーチンの一人勝ちですね。
G7にしてロシアを排除したところで、ロシアは痛くも痒くもありません。ごまめの歯ぎしりをいくら重ねたところで現状を変えることは困難でしょう。
ロシアや中国など一党独裁に近い国が先手を打ってしまえば核戦争を覚悟しない限り打つ手は無いと思います。
オバマ大統領にしても、共和党と民主党の際どいバランスの上で成り立っているのですから国内の出方を見ながら行動せねばならないわけです。
国内の政敵は即投獄して、独裁を進めるような輩に対応できる私がありません。
先生の仰る「表面だけでもなんらかの「譲歩」を取り付けたい西側です。」というのは、有り体に言えば「名を取って実を捨てる」事ですから、情けない話ですね。

2 : 湖の騎士 : March 29, 2014 11:25 AM

悠々様 コメントありがとうございます。同じことを言うのは情けないですが、こういう悲劇・不祥事は今後も起こる可能性がきわめて高いです。日本が当てにしている「日米安保」の効力が試される(中国の暴挙によって)ことがないように祈るばかりです。習近平もオバマを侮っていますし、中国の軍部はもっと侮っているでしょうからーー。それにしても日本の国会議員には、こうした危機の到来を感知するセンサーがなさすぎますね。国会での質疑を聞いていると、それがはっきりと分かります。

3 : 青柳武彦 : March 29, 2014 12:11 PM

 オバマが軍事介入はしないと述べた時点で、勝負あったと思いました。皆さんと意見が違うと思いますが、かくなる上はロシアをG8から追い出すのは考えものと思います。それはロシアを親中国の方向に追いやるものであり、それは世界平和(特に日本)にとって悪夢だからです。
 今回オバマが断固として軍事加入を行い、世界の秩序維持を米国が重視していることを世界に知らしめれば、ロシアも今更中国に接近して対米・EU同盟を作って世界の二大勢力による冷戦時代の夢を追って見ようなどとは思わないでしょう。しかし、ロシアが孤立すれば、ロシアはその方向に走るのではないでしょうか。中国はこれを歓迎するでしょう。さて、どうしたものでしょう??

4 : 湖の騎士 : March 31, 2014 10:28 AM

青柳武彦様
コメントありがとうございます。G8から締め出されてもロシアは痛痒を感じないでしょう。しかし長期にわたり、世界中から敵視され、不信を買うデメリットはきちんと計算できているはずです。中国との接近は、もちろん西側を牽制するために、ジェスチャーとしてはかるでしょうが、中国とロシアは双方とも相手を信用していません。当てにならないパートナーと見ています。折しもパリで米ロの外相会談が開かれていますが、これがオバマの面子を立てるために、なんらかの「色を付ける」ものになるのかどうか、注目したいと思います。

5 : 泥田の落ち武者 : April 3, 2014 10:24 PM

湖の騎士様、

どこが落としどころか、あちこちで色々な記事や、議論、意見等を読み、考えてみましたが、私の落ち武者脳では思いつきませんでした。

米欧が新政権に肩入れしすぎたというボタンの掛け違いから始まり、プーチン・ロシアの米欧への不信感は簡単に払拭出来ないでしょう。(確か事の始まりは、ウクライナの経済危機・政治危機をどうするかが事の発端だったはずですが。)

またプーチンがクリミアの編入ではなく、独立を選択していれば何かとこれまでの事例から理屈をくっつけて、誤魔化しも効いたのでしょうが。

でもって、米国の経済制裁も腰砕け、欧州は米国以上に腰砕けで、とても一枚岩にはならないでしょう。フランスの国際政治学者ドミニク・モイジは「欧州の団結による、プーチン皇帝の歯止め」を主張していましたが、私はイアン・ブレマーの「欧州は団結できない」という主張の方が説得力を感じます。

ただ、一縷の望みは、ウクライナをNATOに加盟させない、と米欧が立場を明らかにしたところではないでしょうか。ロシアはウクライナの連邦制化とロシア語の公用語化等を求めていますが、まずは現状のウクライナの領土的統一性を、NATO加盟国とロシアが保証することが大前提で、そこから先の条件交渉では?

同時に、ウクライナへの米国、ロシア、EU、他主要国による財政支援と、5月の選挙の公正性の確保、等々の前段の合意も含めた一連の協調行動が、関係各国の不信感の解決に繋がるのでは?(あと西側のメディアも「西側諸国、ウクライナ暫定政府=善、ロシア=悪」というような、子供騙しのプロパガンダも止めるべきでしょう。)

繰り返しになりますが、即効薬は難しいでしょうが、時間を掛けた相互の信頼関係の回復、ウクライナの領土的統一性の確保と、軍事的な中立性の確保が、まずは最低限取りうる行動では???

でもって、あまり話題に上らないですが、私が懸念しておりますのが、ベラルーシで同様の事態が発生しないか、ということです。やはり、ベラルーシも経済が低迷し、政情も決して安定しおりません。ベラルーシが西側になれば、ロシアがベラルーシ東部への進駐という事態も十分に考えられます。いまから予防的な措置を関係各国は取るべきでは?

因みにですが、オバマがウクライナ問題で、中国に対露制裁への協調を求めたり、「特別な大国間関係」とやらを取引条件に持ち出すのは百害あって一利無し。この問題は基本的に西側諸国、ロシア、ウクライナ間で解決するべきで、中国などという全くの筋違いのごろつき国家に1mmたりとも恩を売るべきではありません。

で、最大の問題は、尖閣諸島への影響ですが、最善の手段は明示的に尖閣防衛の意思と行動を、日米共同で示すしかないのではないでしょうか。「制裁もへったくれもない、手を出せば叩き切る」が確実なメッセージでは。

6 : 湖の騎士 : April 8, 2014 02:53 PM

泥田の落ち武者様 コメントありがとうございます。しばらくパソコンが不調だったため、お礼を申し上げるのが遅れました。ご意見には全面的に賛成です。とくにモイジとブレマーの意見を引用されたことは、まことに啓蒙的です。さらにベラルーシで起こりうる危険についてのご指摘は、ふつうの日本人の脳裡には浮かばない発想でしょう。ウクライナが持っていた核弾頭1900発をロシアに引き渡す代わりに、「ウクライナの現状には手を出さない」ことに合意したはずのロシアが、そんな合意など踏みにじってしまったことを、日本人がどれだけ知っているでしょうか? ロシア・中国・韓国などが、近代的な国際条約を守る国だとの前提で事を進めてきた欧米は、その致命的な誤謬に気づくべきです。彼らは所詮異質の人々です。

7 : 泥田の落ち武者 : April 8, 2014 07:15 PM

湖の騎士様、

ウクライナ東部で分離独立の動きが見られますが、残念ながら今回は制裁ではなく、NATO軍による先制的なキエフ(別働部隊)、並びにドニエプロペトロフスク(主力部隊)進駐の決断を下すべきでは。クリミアには牽制部隊と黒海への海上戦力の展開。(経済制裁の強化は現段階では不要かと)ロシアには明確に、これ以上のウクライナの領土的統一性の毀損は容認しない、という明確なメッセージを送るべき、と考えますが、騎士様のご見解は如何でしょうか?

ロシアはNATO軍との衝突は回避したいでしょうから、何らかの交渉条件を出して来るのでは?その交渉の中で落とし前をつけるというのも一案では?????

ロシアは極めて制約された制限的戦争を望んでおり、NATO・西側諸国との絶対的戦争はもちろん、制約のない制限的戦争も回避しなければならない、という点は理解しているはずです・・・・・・?

懸念材料はNATOの統一性と、欧州経済への影響かと。(事態が長引けば欧州経済への影響が表面化する可能性がありますから、軍事力という外科的な手段による、短期間の解決が望ましいのでは?)

8 : 湖の騎士 : April 9, 2014 09:54 PM

泥田の落ち武者様 私の意見は落ち武者様のご意見とほぼ同じです。理論的にいうと、ご提案の選択肢がいちばん効果があると思います。だが実際には「誰がそれを決断できるか」がカギとなります。オバマはまず無理です。では誰なのか? ロシアと一番緊密なヨーロッパの首脳ということになると、ドイツのメルケルですが、彼女はそれだけのリスクを冒すことができるでしょうか? しかしこのまま行くと、ロシアの領土はどんどん広がります。ヒトラーが図に乗ったのも、イギリスのチェンバレンの弱気が原因でした。その教訓が身にしみているはずのヨーロッパの首脳たちが、同じ過ちをくりかえしそうです。