View of the World - Masuhiko Hirobuchi

June 30, 2014

ミサイルと恋の歌 -

6月28日、北朝鮮は日本海に向けて2発のミサイルを発射しました。29日のNHKニュースは、朝昼夕とトップ項目でこれを伝えました。しかし、日本全体のムードは、驚くほど冷静というか拍子抜けするほど「無反応」でした。ニュースで北の「意図」について語った関西の大学教授のコメントも、どこの素人でも言いそうな空疎な内容でした。日本人は毎回のミサイル騒ぎに慣れきっているのか、本来ならもっと緊張感をもって受け止めるべきこのニュースに対して、少し吞気すぎる気がします。同日夜のNHKのBSプレミアムは、ずいぶん古い恋の歌ばかりを並べ、これが1時間半近く続いていました。これではミサイルを撃って日本との交渉を有利に運ぼうとしたであろう、北朝鮮の「脅し」は効いていないことになります。ミサイルが飛んできたからといって、皆がかっかして、「すわ戦争か!」と身構える国よりも、のんびりと下手な恋の歌をt楽しんでいられる国の方がよいと私も思います。しかしものには限度というものがあります。集団的自衛権をめぐって、起こりそうもない危険を煽るメディアがあり、それを真に受けておびえる国民がいる国で、目の前に物体としてのミサイルが飛んできても、おびえもしなければ脅威とも感じない人々が、いかにも古い恋の歌を聞いているこの風景! 「平和でいいじゃないか」と喜んでばかりはいられないのではないでしょうか?

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COMMENTS

1 : 悠々 : June 30, 2014 12:32 PM

北挑戦の威嚇を無視するというのも良い方法だと思います。
だだっ子が親の関心を引きたくて大道で手足をバタバタさせて泣きわめくのを無視するのと同じで、効果が無い事を悟ればだだっ子は、おとなしくなる物ですから。
それにしてもあの国が拉致した人間の動静を把握していないはずはありません。日本の総理大臣が出かけて行くのはどうかと思います。向こうは手土産を期待して、それを只取りする魂胆だと思います。
重大事件の際にのんびり歌番組を流しているのもどうかとは思いますが、サッカーのワールドカップの放映もいい加減にしたら、と思って居ます。
朝の出勤時間帯に総合テレビで延々と他国の試合を流し続けています。日本は早々と敗退しているのですから、どうしても放映したいのならBS-1のサブチャンネルでやれば済むことです。

2 : 泥田の落武者 : July 1, 2014 01:50 PM

湖の騎士様、

ある意味、「何度もやればニュースネタにもならなくなる」の典型では?その意味では靖国参拝とかも何度もやればネタにしたくてもネタにもならなくなるのかなと。

で、集団的自衛権ですが、あらゆる場所での大概の議論のレベルが低すぎて呆れかえると言いますか、情けないと言いますか、こんなレベルの議論をまともに受け止める日本人がいるかと思うと、日本における安全保障に関する常識、リテラシーの無さを痛感します。

さらに、そういう呆けた議論に流されているのか、拝み屋に流されているのか、自民の腰の引け具合も腹の立つところです。「兵は国の大事、死生の地、存亡の道なり」と孫子は冒頭で述べていたと思いますが、自衛隊員・国家国民全てにとっての大事、死生・存亡が掛かっているという覚悟・認識があるのでしょうか????

守るべきは票でも議席でもありません。国家の主権であり、国民の自由・生命・財産かと。

3 : 湖の騎士 : July 1, 2014 07:12 PM

悠々様 コメントありがとうございます。北朝鮮のミサイル発射を無視するというのもひとつの見識です。しかし向こうは国際常識とは全く反対の発想を持った国です。無法者が刺青あるいはドスを一般人に見せびらかして「どうだ。俺はすごいのだぞ」と凄んだつもりになっているのと似たようなメンタリティではないでしょうか。場合によっては、国際社会がなんと言おうと、その脅しを実行しかねない連中です。それが自らの破滅に繋がることをどこまで理解しているのかが問題です。サッカーの馬鹿騒ぎについては、ご意見に全面的に賛成です。サッカーファンは、自分たちのサッカー好きが、世界のどこでも通用するいわば「絶対の善」だと思っています。しかし「社会を動かしている中堅層あるいはリーダー層はサッカーを見ないものだ」と思っている国は多いのです。下手に「サッカーが好きだ」などといえば、軽蔑される所も先進国の中には多々あります。マスコミはこうした価値観もあるのだということを伝えるべきです。日本人はあまりにも無邪気でナイーブです。

4 : 湖の騎士 : July 2, 2014 10:43 AM

泥田の落ち武者様 コメントありがとうございます。北朝鮮の精神構造というのは、世界の常識とは全くかけ離れていますから、ミサイルを撃てば脅しになると思いこんでいるようです。我々の常識でこの国を判断するのは非常に危険です。さて集団的自衛権ですが、議論の中身とその水準は、これまた世界常識とはおそろしくかけ離れており、一般の人々はうんざりし、どう判断してよいのか戸惑っていると思います。反対論者に間に欠けているのは、「もし他国の軍隊が漁民を装って日本の島に上陸してきたらどう対処するのか」「ベトナムの船が中国船によって沈没させられたような事が日本との間に起こったらどうするのか」といった、きわめて確度の高い可能性についての具体策が何もなく、「神学論争」に明け暮れていることです。安倍政権の対応も気に入りません。香港では自分たちの命運を賭けた反中国デモが50万人規模で行われているというのに、日本では「はじめから結論ありき」の人々が、なんとか大衆を味方につけようとする思想的キャンペーンを続けています。

5 : 泥田の落武者 : July 2, 2014 06:57 PM

湖の騎士様、

反対派が、「一政権の意向で憲法解釈を変えてよいのか?」とか騒いでますが、ちょっと調べると、以下のように憲法9条の解釈はころころ変わっています。(騎士様にはご案内と存じますが)

また、憲法13条に基づくとされる「環境権」のように、後から新たな解釈を付け加えたケースもあります。

なぜメディアや自民党は、こういう情報を出して国民の理解を深めようとしないのでしょうね????


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1946年6月 吉田茂首相,衆議院での答弁

「戦争放棄ニ関スル本案ノ規定ハ,直接ニハ自衛権ヲ否定シテハ居(お)リマセヌガ,第9条第2項ニ於(おい)テー切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果,自衛権ノ発動トシテノ戦争モ,又交戦権モ放棄シタモノデアリマス。従来近年ノ戦争ハ多ク自衛権ノ名ニ於テ戦ハレタノデアリマス。…故ニ我ガ国ニ於テハ如何(いか)ナル名儀ヲ以テシテモ交戦権ハ先ヅ第一自(みずか)ラ進ンデ放棄スル。…世界ノ平和確立ニ貢献スル決意ヲ先ゾ此(こ)ノ憲法ニ於テ表明シタイト思フノデアリマス。」

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1952年11月 第4次吉田内閣 政府,「戦力」に関する統一見解発表

1.憲法第9条第2項は,侵略の目的たると自衛の目的たるとを問わず「戦力」の保持を禁止している。
1.右にいう「戦力」とは,近代戦争遂行に役立つ程度の装備,編成を具えるものをいう。
1.戦力」の基準は,その国のおかれた時間的,空間的環境で具体的に判断せねばならない。
1.憲法第9条第2項にいう「保持」とは,わが国の保持の主体たることを示す。米国駐留軍は,米国の保持する軍隊であるから憲法違反ではない。

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1954年12月 自衛隊の合憲性=自衛権の存在(鳩山内閣の統一見解;衆・予算委大村防衛庁長官答弁)

 ア 憲法は、自衛権を否定していない。
自衛権は、国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である。憲法はこれを否定していない。したがって、現行憲法の下で、わが国が、自衛権を持っていることは、極めて明白である。

イ 憲法は、戦争を放棄したが、自衛のための抗争は放棄していない。
① 戦争と武力の威嚇、武力の行使が放棄されるのは、「国際紛争を解決する手段としては」ということである。
② 他国から武力攻撃があった場合に、武力攻撃そのものを阻止することは、自己防衛そのものであって、国際紛争を解決することとは本質が違う。したがって、自国に対して武力攻撃が加えられた場合に国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない。  

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1978年3月  核兵器の保有に関する憲法第9条の解釈
(真田法制局長官答弁;参議院・予算委員会)

ア 政府は、従来から、自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第9条第2項によっても禁止されておらず、したがって右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは同項の禁ずるところではないとの解釈をとってきている。

イ 憲法のみならずおよそ法令については、これを解釈する者によっていろいろの説が存することがあり得るものであるが、政府としては、憲法第9条第2項に関する解釈については、アに述べた解釈が法解釈論として正しいものであると信じており、これ以外の見解はとり得ないところである。

ウ 憲法上その保有を禁じられていないものを含め、一切の核兵器について、政府は、政策として非核3原則によりこれを保有しないこととしており、また、法律上及び条約上においても、原子力基本法及び核兵器不拡散条約の規定によりその保有が禁止されているところであるが、これらのことと核兵器の保有に関する憲法第9条の法的解釈とは全く別の問題である。

(後で核兵器はNGになりましたが・・・)

6 : 湖の騎士 : July 4, 2014 07:10 PM

泥田の落ち武者様 大変貴重な情報をありがとうございます。私はここまで精密に過去の記録を整理していませんでした。他の読者の方々にも役立つ情報だと思います。3日の産経1面に阿比留記者が歴代政府の憲法解釈の変遷を追っていましたが、落ち武者様の事実指摘の方が詳しいです。私もプリントアウトして今後の役に立てさせていただきます。