View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 09, 2015

大誤解に基づくキリスト教 語訳された聖書 -

「新約聖書」を読んだり、神父や牧師の説教を聞いて何かはっきりとは分からぬけれど、「どうも少し違うな」と感じたことはありませんか? 「違う」というのは「一般常識とは違う」という意味です。たとえば「マタイ伝」の五章十節。「義のために迫害された人たちは幸いだ。なぜなら天国は彼らのものである」と言っています。これだと人は神の国にために迫害されることに価値があるということになります。ローマ帝国が地中海一帯の覇権を握っていた時代には、「迫害」は死を意味し殉教を意味しました。当時のキリスト教徒たちは神の国のために迫害されて死ぬことに、宗教的意味を見出し、そのために何百万人という人々が殉教者となりました。この思想はその後も長くキリスト教徒の間に根付いてきました。しかし、この箇所は、はたしてイエスの真意を正確に伝えたものでしょうか? 「違う。これは彼の言葉をギリシャ語に翻訳する際の、『誤訳』によるものだ」ということをダヴィッド・ビヴィンという方が発表しています。正しい訳は「義を追い求める人は幸いだ。なぜなら天国は彼らから成っているからである」とすべきだとネヴィン氏は言います。聖書は「追い求める」を「迫害する」と誤訳したと氏は言い、この第五節には他にも三つのキーワードが誤訳されている、と指摘します。私がこれを読んだのは隔月誌「みるとす」の2014年12月号ででした。連載記事で「新約聖書の誤訳を正す」の第2回目です。私の頭はこれでずいぶんすっきりしました。高校時代ミッションスクールに通いながら、どうしても聖書を教える先生の教えになじめず、幼い心にキリスト教への違和感を覚えたわけがはっきりと分かりました。なんと「キリスト教は誤訳の上に立っていたのか!」という思いです。ご参考までに「みるとす」を発行している出版社の電話番号をお知らせします。03-3288-2200です。

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COMMENTS

1 : Sako : March 10, 2015 09:46 PM

佐藤優さんの新刊本が出て、ミルトスを初めて知りました。
先生のエッセイを読み、雑誌を早速購読してみようと思います。

2 : みるとす編集部 : March 11, 2015 11:41 AM

廣淵先生

ご紹介ありがとうございます。フェイスブックでシェアさせていただきました。

3 : 齋藤滋子 : March 11, 2015 02:16 PM

広淵升彦先生の仰る通りだと思います。

4 : 湖の騎士 : March 11, 2015 09:51 PM

Sako様 コメントありがとうございます。今回の拙文はかなり難解な大問題を扱っています。2000年近くも「誤訳」されてきた思想・価値観に対する修正作業をわずか十数行で行うというのですから大それた試みともいえます。そういう文章に対して早速ご意見を賜り、しかも「購読してみよう」とまでお考えいただいたのですから、光栄です。実は私はこの雑誌に3年間「マスコミが伝えない『世界』」という連載を続け、昨年の12月号で一応連載を終了させてもらいました。自分が連載陣に加わっている間は、この雑誌のことを語るのはなにか後めたい気がして言及するのを控えていたのですが、それにしてもボヴィン氏の記事は他では見られない重大問題に正面から挑んだものですから、思い切ってご紹介した次第です。早く雑誌そのものをご入手されることをお祈リしております。

5 : 湖の騎士 : March 11, 2015 09:55 PM

「みるとす」編集部様 Sako様へのお礼のコメントに書いたとおりです。友人の中に数人のプロテスタント信者と、その5分の1くらいのカトリック信者がいます。この連載のことを知らせようと思っています。

6 : 湖の騎士 : March 11, 2015 10:04 PM

斉藤滋子様 コメントをありがとうございます。私は少年時代から、聖書の文章になじめず、ホメロスの叙事詩や、ギリシャ神話、北欧神話を読む方が気分が落ち着いた(相性がよいと感じた)ものです。後に「背教者ユリアヌス」(辻邦生著)を読んで大いに共感するところがありました。どうしても新約の世界への違和感を拭えなかった原因が、今回はっきりとわかった思いです。