View of the World - Masuhiko Hirobuchi

July 08, 2015

「ギリシャと日本は似ている」というメディア -

今回のギリシャの国民投票の結果をどうご覧になりますか? 理性的に物事を見る人々は、ギリシャ人の意思表示を「EUに対する感情的反発の表れであり、未来への道標なき抵抗」と見ています。「このまま反EUの姿勢を続けていけば、やがてユーロ圏からの離脱」といったことも起こりかねず、それはギリシャ国民にとっての自殺行為だ」と見る見方です。しかし日本の一部のメディアは、今回の国民投票を心情的に支持しています。明らかに「支持」とは分からない「ぼやかし」をまじえながらです。名物の短いコラムは「ギリシャのことは言えない。日本の国家財政だって1000兆円を超える借金を抱えている」と言います。ギリシャをだしに使って、日本政府を貶めたいという意図がありありです。「日本は大量の外国の国債を保有し、外貨準備高は中国を抜いて再び世界一になった。メディアが『借金』という国債の買い手の90パーセント以上は、日本の金融機関であり、日本国民だ。ギリシャと比べる方がおかしい」といった意見は、こうしたコラムの書き手の耳には絶対に入らないようです。

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COMMENTS

1 : Sako : July 11, 2015 09:52 AM

そもそも、景気が悪化している時に、緊縮政策を採ると更に景気が悪化します。そうなると、税収が落ち込み、債務返済が遠退きます。ドイツの主張は無理筋です。
これは、過去日本が景気対策を失敗し、債務比率を高めた構造です。

現在、日本の財政問題は大きな課題ですが、喫緊の問題ではありません。
何故なら、中国・ギリシャ危機がある時、日本の円が安全資産として買われ、円高が進みました。
また、10年物国債の金利は0.5%を下回る程です。つまり市場は日本が破綻しないと見ています。もし、評論家やメディアが言う様に日本が破綻するなら、この金利がこんなに低いはずがありません。
ピケティを引くと、国家は昔から全ての借款を全て返していないし、経済成長とそれに伴うインフレよって解決してきたとしています。

外貨準備高は、変動相場制にしていると意味をなしません。外貨需要がある時、円が減価し外貨不足にならないからです。日本は、円安介入の為に、短期国債わざわざ発行して、ドル買い・円売りをして外貨準備が積み上がっただけです。

中国は事実上ドルペッグ制です。外貨が流入し、そのまま放置すると人民元が増価します。人民元高を防ぐ為、外貨を買い上げ、元を供給します。そうすると、自動的に外貨準備高が増えます。外貨準備高が減ったのは、人民元需要が以前より減ったという意味だけです。

一つ一つ、丁寧に日本のマスコミの主張を潰していくと、彼らは勉強していないんだなぁ、と感じます。

WSJを読むとギリシャ問題がクリアに見えてきました。
http://m.jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598?mobile=y

2 : 湖の騎士 : July 11, 2015 11:18 PM

Sako様 コメントありがとうございます。理路整然とし、日本のメディアの「思い込み」や「こじつけによる日本との類似点探し」がいかに誤っているか、をはっきりさせていただいた気がします。WSJの記事も大変参考になります。他の読者の方々もそう感じておられると思います。私としてこれに付け加えるとすれば、ギリシャはやはりEUの主要国とはメンタリティの違う国であり、EU的な発想にはなじまないところがあるように思うということです。古くはパパンドリュウという首相が長く権力を握っていました。女優で歌手の世界的に有名なメリーナ・メルクーリが閣僚に起用されました。その言動はどう考えても国の経済を立て直せるようなものではありませんでした。今でも一般の国民は、ブリュッセルのEU官僚に対する反発を抱いています。英米独仏日といった国々で通用する価値観がギリシャで通用するとは思えません。この国を建て直すには、別のメンタリティ、別の価値観が必要だと思います。この点をどうお考えですか?

3 : Sako : July 12, 2015 12:42 AM

佐藤優氏は、EUはローマ法、キリスト教、ギリシャ古典哲学の価値を共有しているが、ギリシャは「合意は拘束する」ローマ法の価値を共有していないと言います。
先生が言われる様に、そもそもEUと価値観を共有していません。
ただ、私は今回のギリシャ問題は、EUとユーロを切り離して考えるべきだと思います。

共通の経済圏のEUにギリシャが残れば、ドイツやフランス等の大国は輸出市場を確保し、安い労働力を使えます。またギリシャにとっても巨大経済圏から受ける恩恵は大きいです。

最適通貨圏の考えに立てば、ギリシャはユーロに相応しくありません。ユーロにとって、通過価値を毀損します。
また、ギリシャにとっては、ユーロは自国の金融政策の放棄することを意味します。通常、景気悪化時には財政政策と金融政策による対応しかありません。多額の債務で財政出動が出来ない以上は、金融緩和で国内景気を浮揚させるしかありませんが、出来ません。
ドラクマに移行すれば、通貨価値が一気に減価し、ギリシャの競争力が上昇します。そうすると、観光業が盛り返します。

あれだけアルジェリアでテロがあっても、観光客が行くのは近くて安いからです(ある程度安全という認識は最近崩れていますが)。
LCCが発達した欧州で、通貨が暴落したギリシャなら、欧米人は行きます。

だいたい経済破綻すると、通貨が暴落し、金融市場から締め出されますが、翌年に株価が急上昇します。景気が回復し、皆が忘れた頃に金融市場に参入します。(元どおり)

EUに入ってユーロ導入していない国はノルウェー、英国などと結構あるので、普通のことです。

誰も言っていませんが、リーマン後のアイスランドの事例がかなりギリシャにとって良い参考例になると思います。

4 : 湖の騎士 : July 13, 2015 11:16 AM

Sako様 再度のコメントをありがとうございます。EUの中にありながら、ユーロを導入していない国に目が行くというのは視野が広い証拠です。ただ私は19世紀の全期間および20世紀のかなりの期間、世界の金融市場として繁栄を続けたロンドンの「シティ」を有し、世界の通貨の中でも「正貨」として絶大な信用を誇った「スターリング・パウンド(ポンド)」を持つイギリスとギリシャでは事情はまったく違うと思います。ノルウェーも国民の「知的民度」がギリシャとは全く異なります。ギリシャの危うさはまさにこうした「民度」が生み出す「世論」です。それでも、「金融緩和しか道はない」というご意見は貴重です。問題は今までの成功例がギリシャに当てはまるかどうかです。これまでさんざ幻滅を味わわされたEUが、金融緩和策を認めるかどうか? 未知の要素はいっぱいありますが、早く解決の「道筋」だけでもつけてほしいものです。