View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 02, 2015

スパイ活動についての常識 -

日本人男性が3人、スパイ容疑で中国当局に拘束されています。これは日本政府にとって由々しい一大事です。この人々を釈放させるために、日本政府は大変な労力と時間を費やさねばなりません。公正な裁判など期待できず、容疑内容にしてもどこまで信頼できるのかは分かりません。日本が習近平政権の思うように反応しないので、なにか思いもかけぬ手を打ってくるのではないかと懸念していましたが、それが現実のものとなりました。9月30日、菅義偉官房長官の記者会見で、どこかの記者が「日本は外国にスパイを送りこんでいるのですか?」と聞いたそうです。国際通の先輩が、嘆きと怒りを込めたメールで知らせてくれました。どこの世界に政府高官が、「はい、送り込んでいます」とか「いいえ、そんなことはしていません」と答えるでしょうか。愚問中の愚問ですが、これが「永田町担当記者」たちの知的水準なのでしょう。スパイ活動(諜報活動)について知っておくことは、ジャーナリストにとって必須の知識です。この分野についての知識がない国会議員や記者たちが、あまりにも狭い視野しか持てないままに、政治を語り、世界平和を論じています。本当に危ない話です。

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COMMENTS

1 : 悠々 : October 4, 2015 12:39 PM

スパイ活動というのは政府が公式に認めない索敵活動ですから、その記者の知能はかなり幼稚ですね。
海外の大使館、公使館では外交官特権に守られた外務省の外交官以外の人間が各省庁から派遣され外交官の肩書きで情報蒐集を合法的に行っています。私の知人の夫さんは米国人でCIAの職員ですが、外交官として来日しておいでです。
スパイ活動というのはどんな理由であっても相手国がスパイと認定すれば最悪死刑にもなりかねません。
曾ての日本でも軍港を撮影したというだけで、それが日本人であってもスパイとして逮捕されました、ましてや外国人であればなおのことです。
私が以前韓国旅行をしたときに板門店で、北朝鮮方向にカメラを向けたらガイドに厳重に注意されました。ガイドが言うにはその行為は北朝鮮から銃撃される危険があるというのです。
ソウル市内では青瓦台の大統領官邸付近を通ったとき、運転手から絶対に写真を撮らないよう忠告されました。スパイ行為として罰せられるというのです。交戦状態の国ではそうゆう事が常識なのです。
中国で日本人3人がスパイ容疑で逮捕されたと言うことも、平和惚けした日本人の何気ない行動がスパイ行為とされたのかもしれません。勿論先生がご指摘のように戦略として何でもありの中国が、全く無関係の日本人を人質に取ったと言うことの方が可能性は大です。恐ろしい国ですね。

2 : 湖の騎士 : October 4, 2015 05:31 PM

悠々様 非常に貴重でご自身の体験に基づくコメントありがとうございます。最近の記者会見をテレビで見ていると、幼稚な質問をする記者が多いのに気づきます。官房長官に質問した記者の頭にあったのは、おそらく「スパイ活動というのは悪いことだ。日本はそういう非倫理的なことをしてはいけない。そういうことをすれば、中国との友好を損なうのは当たり前だ」というような、小学生並みの思想だったのだと思います。そういう人間に、「スパイたちが正確な情報を本国に送ることで、平和が保たれてきた一面もあるのだ」と教えれば、仰天するでしょう。仮想敵国の武力や意志力についての高度の情報(インテリジェンス)を得れば、国内のタカ派といえども「あの国をやっつけよう」という気にはならないものです。危険が大きすぎるからです。こうして米ソは戦後一度も戦争をせずに過ごしてきました。こういう話を初めて聞くと、「とんでもない発想だ」と反発する人もいるでしょうが、これが国際政治の現実です。大体ほとんどの日本人は、悠々様のように生身のスパイあるいはその配偶者に会ったこともなく、彼らの頭の中身について想像したこともないはずです。平和を保つためには、諜報(エスピオナージュ)についての知識は不可欠です。

3 : sako : October 11, 2015 10:22 AM

「私は外務省の雇われスパイだった」という本がありますが、とても官房長官の言は真実と捉えられません。

4 : 湖の騎士 : October 12, 2015 11:15 AM

Sako様 コメントありがとうございます。この本の存在は知っていましたが、読んではいません。官房長官の発言を文字通り受け止めている人はいないでしょう。こういう質問をされれば、ああ答えるしかないのが日本です。メディア人間がもっと成熟していれば、長官も味のある曖昧模糊とした答えをしたでしょうが、いまの幼児化した記者を相手に、そういう答えをすれば、攻撃され火だるまになることは目に見えています。いずれにしても、この質問が愚問だということに、いまだに気付いていないであろう記者の精神内容が問題です。