View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 09, 2015

「一億総活躍社会」は疲れないか? -

安倍晋三首相は少し張り切りすぎている感じです。「一億総活躍」時代なるものを打ち出しました。誰の進言によるものか知りませんが、「人間というものが分かっていない」発想だと思います。「もう私は十分に活躍した。ここらでゆっくりと隠居生活を楽しみたい」と思っている人は、1000万人を軽く越えているはずです。こういう人たちが、緑に囲まれた環境で絵を画いたり、茶の湯を楽しんだり、下手ながらエッセイを書いたり、詩を吟じ、孫と会話するのも立派な成熟した「文化」です。首相およびそのブレーンは、「今さら「活躍する」というのも疲れる。日本人はなぜそれほど活躍したいのか? 隠居というのは昔からの美徳であり、奥床しいものであったはず」と思っている人の気持ちが分からないのでしょう。一億総活躍などと唱えると、昔の首相経験者で、在任中もその後もろくなことができなかった連中が、「そうだ。俺たちもまだまだ必要とされているのだ」と勝手に思い込み、ただマスコミに出たい一心で現役の首相のすることなすことに難癖をつける醜悪な社会が、再現するのではないでしょうか? これはこの夏、いやというほど目にした光景です。「大人しく隠居しているのも教養のうち」ということが分からぬ輩を、これ」以上元気づけてはいけません。

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COMMENTS

1 : 悠々 : October 9, 2015 05:42 PM

阿部さんの発言は全く噴飯物です。
三本の矢、なるものも理念だけをまくし立てているだけで内容は空っぽです。財源はどうするのか、どうやって実現するのか、全く触れていません。
小学生が将来は宇宙飛行士になるのだ、と言うのは夢がありますが、一国の首相が夢を語っても空しいだけです。
一億総活躍にしても戦時中の「一億火の玉」を思い起こしてしまうのは私だけでしょうか?
馬鹿を言うのもいい加減にして欲しいです。

2 : 湖の騎士 : October 9, 2015 06:11 PM

悠々様 コメントありがとうございます。「1億云々」という言葉はかつての「国民運動」の蒸し返しと取られる可能性が高く、使うのは控えるべきでしょうね。三本の矢というと、みんな毛利元就を連想し、安倍さんの地元の武将だな、と思ってしまいます。いずれにせよ、今回の「一億総活躍」はセンスがなく、これを進言したブレーンは早急に取り替えるべきでしょう。

3 : Mr.Green : October 13, 2015 06:53 PM

先生のおっしゃる通り、一億総活躍よりも、今の日本には世代交代が必要だと考えております。いつまでもお年を召した方たちが我慢できずにしゃしゃり出てきてかき回していては、若い世代が一向に成長しません。私は30代になったばかりですが、今いる会社でも同じように年配者が自分の存在意義を誇示するかのごとく振舞っており、それに反抗するでもなくおとなしい若者〜中堅社員が本当に多いです。それは年配者だけの問題ではなく、私たちのような若者側にも気概が無い者が多いのも問題です。しかし、経験豊かな年配者として「ここはおとなしく、若い奴に任せてみるか」となる器量を見せて頂きたいです。最近は”弱者”という強力な鎧をまとった強者が多くなっていると感じております。

4 : 湖の騎士 : October 14, 2015 06:44 PM

Mr. Green様 (このお名前としては)初めてのコメントをいただき、ありがとうございます。「”弱者”という強力な鎧をまとった強者」という表現はまことに新鮮で、説得力豊かです。かつて組織のトップを務めた人、トップとまでは行かなくともかなり高い地位にいた人は、「自分はあるいは若い者の邪魔をしているのではないか?」と考えるだけの想像力と教養が必要です。あなたがお勤めの会社なり役所のシニアな人たちが、いつまでも自分の「存在感」を誇示したがっているというのは本当に困ったことです。コメディかなんかで、長年社長を務めた男が、「わしの判断力もだいぶ鈍ってきた。そろそろ引退しようと思う」と漏らすと、ゴマスリだけで生きてきたような専務や秘書部長が「いやいや、社長にはまだまだ頑張っていただかないと、我が社も我々若い者も困ります」と言うシーンがあります。するとすっかり気をよくした社長は「そうかね、皆がそういうのなら」ということで、続投を決めます。こういう会社は、まずまちがいなく衰退します。国も私企業も、絶えず新しいリーダーを必要としています。おだてられてその気になった途端に、その組織はもはや彼(彼女)を必要としないのです。しかしそれが分からぬ先輩たちの下で働くというのは、本当にご苦労が多いこととお察しします。お力にはなれませんが、コメントのやりとりくらいはできます。いつでもご遠慮
なくご訪問ください。 もうひとつ。グリーンというお名前はご自分を卑下し謙遜なさってのことと思います。"He is green" などは、英語表現の定番ですね。「まだ青い。未熟者です」ということを表現なさりたいのだとお察しします。

5 : Mr.Green : October 17, 2015 06:24 PM

私の言葉足らずのコメントに対して、心の内を察して頂いてのご返事をありがとうございます。申し遅れましたが、私は以前、大学で先生の授業を受けていた学生でした。"green"は先生の御察しのとおりでございます。この表現は先生の授業にて教えていただき、今では海外の方々と仕事をする際にとても役立っている表現です。こういった内容は先生の授業でしか学べない、生きた教養でした。

6 : 湖の騎士 : October 18, 2015 12:00 PM

Mr.Green 様 驚きました。まさか私の授業を聴いて下さった方とは気付きませんでした。私がお話ししたことがお役に立ててこんな嬉しいことはありません。貴方の会社の頑迷な上司や先輩について、私の体験を話しますと、上役というのは、部下の本当の資質を見抜けない場合の方が多いと思います。私も会社を辞めてだいぶ経ってから、元社長の一人に「君がこんな本を書けるとは思わなかった。あの時に分かっていればなあ」と告白されたものです。社長よりもっと下の上司にいたっては、その後もずっと分かっていなかったと思います。組織というのはそういものだと割り切って、物事も人間も見えていない先輩・上司とうまく折り合ってゆくしかありません。よく言われる言葉に「上司は部下の力を見抜くのに3年かかるが、部下は3日で上司の本質を見抜く」というのがあります。組織内で腹の立つことへの対処法はユーモア感覚であり、いやなことを笑いとばす能力です。