View of the World - Masuhiko Hirobuchi

November 18, 2015

あまりに画一的な「テロを生む土壌」論 -

パリでのテロによる惨劇を受けて、ここ数日日本のメディアには「なぜこうしたテロが多発するのか?」といった意見がさかんに登場しています。そのほとんどは日本人の「識者」「論客」であり、「中東の事情に詳しい」人です。しかし彼らの論調がほとんど同一なのにお気づきでしょうか? 簡単に言えば、「テロリストはもちろん悪いが、こうしたテロを生み出す西欧社会にも問題がある」というものです。「中東からの移民およびその子供たちは、よい職業にもつけず、社会から疎外されている。人生に希望を見出せない。そうした絶望感に打ちのめされている彼らに、テロリストが近づき、若者が洗脳されてゆく。各国の政府はもっと貧富の格差をなくし、社会の底辺にいる人々に目を向けるべきだ」というものです。ここ四、五日、テレビを覆っている論の基調はこうしたものです。したり顔のJキャスターがこれに相槌を打っています。しかしこういう「説教調」の論議はもううんざりです。なんら新味はなく、「あまりにも日本のメディア的すぎる」と思います。「では、そういう君の意見はどうなのか?」とお思いでしょう。それについてはあらためて書かせていただきます。

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COMMENTS

1 : Sako : November 21, 2015 11:00 AM

先生の仰られるとおりだと思います。
貧困は1つの原因に過ぎない事を、こうしたコメンテーターは理解出来ないのでしょう。
複雑な複合的要因を、分解してこそコメンテーターの使命です。知的怠惰が甚だしいと思います。
1つの理由で、全体を解明出来るとする人間が多過ぎます。

そもそも貧困だけが原因ならば、何故インドでイスラムテロが頻発しないのか説明が出来ません。(ムンバイのテロはありましたが)
ミンダナオで、イスラム国の影響が少ないのは何故か?もそうです。

2 : 湖の騎士 : November 21, 2015 05:20 PM

Sako様 コメントありがとうございます。インドでなぜイスラム・テロが起きないのか、ミンダナオでなぜイスラム国の影響が少ないのか? というのは鋭いご指摘です。テレビで解説
している人々は、そういったことを考えたこともないと思われます。インドには6000万人のイスラム教徒がいることも、彼らの思考の中には浮かんで来ないのでしょう。もう一つは「そんなに不満があるのなら、なぜもっと早くテロを起こさなかったのか? ここ2,3年の間にテロが急増したのはなぜか?」といった疑問にまったく答えていないことです。そうした視点からの記事をあらためて書きます。

3 : ノブレス : November 25, 2015 09:23 AM

お久しぶりです。先生のブログが更新されるたびにまだお元気でいらっしゃると分かるので嬉しく思います。

ところで、今回の記事とは関係ないのですが、「トルコ軍によるロシア軍機の撃墜」についてですが、トルコ側としてはシリアの空爆等ロシアの動きに非常に敏感になっており、起こるべくして起こってしてしまったと見ておりますが如何でしょうか。

トルコにしてもれば、ボスポラス海峡をめぐるロシアとの駆け引きの件もあり、便乗してトルコを攻撃をしかねないと思っており、領空侵犯等の動きには非常に敏感になっていた。そこへロシア軍機が飛来してきたので、即座に対応を取った。ということではないかと思っています。

今回の件が、株式市場にはまだそんなに多くの影響は与えていないようですが、しばらくは目が離せない事案ではないかと思っております。

是非、次の記事で先生のご見解をお聞かせいただければ幸いに存じます。尚、大分寒くなってまいりましたので、お体には十分お気を付けてお過ごしください。。

4 : 湖の騎士 : November 25, 2015 11:05 AM

ノブレス様 お久しぶりです。コメントありがとうございます。トルコとロシアは昔から不倶戴天の敵同士といっても過言ではありません。恨みつらみは草の根の国民の間にも堆積しています。しかし今回の事件はそうした100年以上も前の感情に基づくものではないでしょう。撃ち落としたトルコ側も、撃ち落とされたロシア側も冷静な判断に基づいて行動した結果だと思います。ボスポラス海峡へと回転した貴方の頭脳は、柔軟で日本のメディアの影響をあまり受けていないように見えます。けっこうなことです。今回の事件を分析するには私の情報は少なすぎると思いますので、今日はこの辺で失礼します。次回あたりで少し触れたいと考えています。