View of the World - Masuhiko Hirobuchi

November 29, 2015

テロリストたちの死生観 -

前回(11月18日)このブログで「あまりに画一的な『テロを生む土壌』論」を書きました。日本のマスコミの特徴は、我々とは全く違う文化の中で生まれ育った人々の感情や価値観を、すべて日本人のそれに置き変えて解釈してしまうことです。今回のパリをはじめとする一連のテロが起こった原因についても、「西欧社会におけるイスラム教徒はあらゆる面で差別を受け、阻外されている。ために人生に希望を見出せない。こうした絶望感を抱いた若者にテロリストたちが近づき、その思想に共鳴した若者がテロを引き起こす。これを根絶するためには、空爆などをいくらやっても効果はない。西欧社会の底辺であがく虐げられた異教徒と恵まれた階層との貧富の格差をなくすべく、各国政府は努力すべきだ」といった論が幅をきかせています。しかしこうした論が、あまりにも日本的だということを、私は指摘しました。
いま起きているテロについて言いたいのは、「テロリストたちは人間の生と死について、我々とは全く違う価値観とイメージを持っている。そこをまず認識すべきだ」ということです。イスラム系の市民がいかに西欧社会で阻外されているとしても、それに抗議するために自らの命まで投げ出すものだろうか? というきわめて素朴な疑問が、日本のメディアで論を為す「常連」の頭に浮かばないのが不思議です。差別がどんなに辛かろうと、死ぬことに比べたらはるかに楽だろうに、と考えるのが「常識」というものでしょう。しかし、自分の体に爆弾を巻き付けて、見ず知らずの他人を殺し自らも死ぬことを選ぶ過激派の人々にはそういう「常識」は通用しないのです。彼らは神の御心に沿って異教徒を殺害し自分も死ねば、緑ゆたかな天国に行き、多数の乙女にかしづ」かれて楽しく夢のような暮らしができると信じています。彼らにとっては、死はけっして忌まわしく怖ろしいものではないのです。これは先進国の人々にはとうてい理解できない「感覚」です。メディアに登場してテロについて語るなら、まずこうした「死生観」の根本的な違いから話を進めるべきだと思います。

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COMMENTS

1 : sako : December 2, 2015 10:16 PM

全面的賛同します。
イスラム過激派の連中は、人の命を軽く見すぎています。
究極的には、神権政治となることが彼らの最終目標です。
民主主義の対極は、独裁政治ではなく、神権政治です。我々と倫理観が真逆になるのは当然のことです。
テレビ朝日の元プロレス解説者のアナウンサーや、関口宏氏のTBSの番組のコメンテーター等は文明間対話などとのたまわっていますが、文明間闘争ではなく、狂信的テロ集団との戦争です。
小型核兵器を使って、所謂イスラム国の連中を殲滅し、彼らが言う天国送ってあげるべきだと思います。

2 : 湖の騎士 : December 3, 2015 09:48 PM

Sako様 コメントありがとうございます。2日の報道ステーションでも北海道大学の中島岳準教授が、イスラム国の立場と戦略について、滔々と述べていました。彼らの胸中と狙いが全部分かっているかのような口ぶりでした。この人も他の「宥和論者」たちも、イスラム過激派との間に「対話が成立する」と思い込んでいます。しかしそれは日本人が勝手にそう思っているだけで、過激派は日本の識者との対話など望んでいません。彼らは「先進国民とは全く違う感性と文法で動いている集団」であり、ご指摘の通り、「神権政治の実現」を目指しているのでしょう。とにかく我々の価値観で、彼らの気持ちを推し量るという「愚挙」だけは、もういい加減でやめてもらいたいものです。