View of the World - Masuhiko Hirobuchi

January 08, 2016

サウジ対イラン & 北朝鮮 -

年明け早々から、扱うには大きすぎる問題が発生しました。いうまでもなく、サウジアラビアなどの対イラン国交断絶であり、それに続く北朝鮮の水爆実験成功宣言です。しかし「扱うには大きすぎる」からと言って、巨大メディアにばかりこれらの問題を任せておくわけにはゆきません。まず中東の危機です。サウジもイランも頭に血がのぼって感情的・突発的な行動に出ることはないと思います。あくまで冷静で「国益第一」の行動を取るでしょう。残念ながら日本の政治家の危機認識力です。昨年来の安保法制問題を扱った国会審議で、野党の「政府糾弾」発言の中に今回の危機的状況を視野に入れたものは、まず一つもありませんでした。党首たちは、日本内部でのみ通用する価値観に基づき、「昨日あった状況は明日も明後日も、一年後も続く」という前提に立って質問し、政府を糾弾していました。「そんなことばかり取り上げているうちに、もし中東で大紛争が起こったらどうするんだ!」と思った国民は多かったはずです。しかしそうした懸念が民衆の間にあることを察知できない議員たちは、「ホルムズ海峡封鎖なんてことは起こりっこない」といわんばかりの議論を延々と続けました。こういう考えを抱いていた政治家は、急きょ全くちがうアングルから中東および世界を見る習慣を身につけてほしい。これは国会議員としての「義務」です。次に北朝鮮問題、とりわけ金正恩第一書記の「頭の中身」について。夕刊フジ・日刊ゲンダイなどのタブロイド版夕刊紙は、7日発売号で一斉に「狂気の金正恩」といった見出しを掲げていました。他のメディアの中にもこうした見方が浸透していると思います。しかし彼を狂気と見るのは危険です。アメリカを相手に危険な外交ゲームをしていることはたしかですが、彼は「正気」だと思います。問題は彼の政権の中に、「これ以上やると危ないです」という進言をする人がいないことです。そんなことをすれば、張成沢のように直ちに処刑されてしまうのが、北の現実です。言い足りないことは承知で、ここでひとまず終わらせていただきます。

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COMMENTS

1 : Sako : January 13, 2016 10:05 PM

イランとサウジが争いを始めたから、北朝鮮が核実験を行ったのではないかと邪推します。あくまでも邪推です。
イランのシャハーブ2ミサイルはノドンミサイルのコピーです。パキスタン、イラン、シリアの核開発において技術支援をしたのは北朝鮮です。
つまり北朝鮮がイランに対し「旦那、良いのありますよ」との呼びかけです。
また、イランの核武装すれば、パキスタンの核はサウジに行くので(資金援助はサウジのため)、 北朝鮮とすれば間接的にサウジは客です。

中東は17世紀の欧州の段階ではないかと考えます。プロテスタントとカトリックの宗派間戦争が収まったのは、30年戦争の大殺戮でお互いにこれ以上戦えない位犠牲が多過ぎた為です。
IS・サウジ、イラン間で現代の30年戦争が勃発すれば、逆説的に世界平和が訪れて部外者からすれば助かります。
少し酷な言い方をすれば、彼らが互いに殺し合えばテロが減るのにとすら、最近では考える様になりました。

2 : 湖の騎士 : January 14, 2016 07:03 PM

Sako様 コメントありがとうございます。理路整然としていますね。ここにお書きになった核に関する二国間相関関係は、メディアでも取り上げられたものですが、これほどはっきりと頭の中で分類されている人は少ないと思います。日本の一般人は北が実験をしたと言っては、「これだけ核に反対する人が世界に満ちている中で許せない暴挙だ」というふうな情緒的反発をしていますが、そんなは反発は北にとっては痛くもかゆくもないでしょう。それよりも貴方様のように、理性的に「どの国とどの国がどうくっついていて、どういう利害関係があるのか」ということを、即座に説明できるような「知識」の方がはるかに効き目があります。日本の政治家で貴方がお示しになった「核開発相関図」をとっさに思いだせる人は極少でしょう。残念ですが、これが現実です。話を30年戦争に飛ばされましたが、表面では「少々過激すぎないか」と思っても、心中深くでは「そこまでいかないと、この暴力の連鎖は収まらないだろう」と共感する人も多いと思います。