View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 17, 2016

英文法を敵視する人々へ 過去完了なきスピーチ -

テレビやラジオで「英文法は英会話の妨げになる」と説く人たちのことを前回書きました。さぞかし賛否両論が出てくるだろうと期待していましたが、お一方(ひとかた)がコメントをくださっただけで、大議論にはなりませんでした。このテーマは賛成・反対を言いにくいものだと気がつきました。私の意見をずばり申し上げますと、「英文法はきわめて有益であり、かつ必要なもの」です。「役にも立たぬものに長時間を費やし、そのために英語を話す時間が奪われる」という考えは、一見世間の支持を集めそうですが、「きちんとした英語を話すためには、文法の知識は必須だ」と申し上げたい。一つの例をご紹介します。日本に来ている外国人と結婚した日本女性がいました。だいぶ前に夫に先立たれましたが、夫の友人たちが「偲ぶ会」を開いてくれました。100人ほどの参列者の中から特に故人と親しかった数人が英語でスピーチしました。会も終わりに近くなって、夫人(今は未亡人という言葉は用いないようです)が参会者にお礼の言葉を英語で述べました。このスピーチに対して、私は強い違和感を覚えました。過去の夫との思い出を語るに際し、すべてが「過去形」だったのです。「5年前に私たちは、00市へ桜を見に行った。そこは新婚の頃に訪ねた所だった」と言う時に、「過去よりもうひとつ前のことを言う場合には過去完了形を用いる」という原則が全く考慮されていない文章構成になっていたのです。こう書いてしまうと「そんなに違和感は感じないよ。これくらいはいいんじゃない?」と思われるでしょうが、実際にこれを聞いてみると、その異様さに気付かれると思います。英文法をしっかり学んでおけば、知的な人々が用いる「テンス(時制)」くらいはきちんと使えるはずーーと思ったものです。これは一例にすぎません。「メディア」という語が「複数形」という意識もなく、「単数」として用いている人もいますが、これも初歩的な文法の知識があれば避けうる誤謬です。「文法は力強い味方」なのです。

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COMMENTS

1 : 小龍 : April 20, 2016 05:46 PM

ご無沙汰しております。

今子供たち(1歳と4裁)にとある企業が主催しているネイティブティーチャーの講義やディズニー教材などを使って英語を学ばせていますが、先生の仰る通り文法は英会話を習得する上で非常に重要だと感じています。文法を理解している方が、適切な表現、又は会話の表現方法にも広がりが出るのではと。

故にいかにして子供たちにそこを学ばせるか悩むところでありますが、とりあえず今は英語を楽しく勉強できるように環境づくりしています。
かくいう私は恥ずかしながら英会話が殆どできないのですが、、安倍首相が掲げた海外からの観光客の積極誘致などで、ここ最近都内を歩いていると外国の方々から道を聞かれたりすることが多くなりました。簡単な道の案内と最期にお礼を言われたらユアウェルカム…と話すくらいはできますが、もっと流暢に英会話ができたらきっと楽しいのだろうなとこの歳になってつくづく感じます。

子供たちは英語の歌を歌ったり、今は楽しく勉強していますが、これから成長していく過程で、文法の大切さと、海外の人々とコミュニケーションが取れると言う事の楽しさをどのように伝えたらいいか頭を悩ませております笑
(いまさらですが私も少しずつですが勉強中です

2 : 湖の騎士 : April 21, 2016 03:52 PM

小龍様 コメントありがとうございます。1歳と4歳のお子様に英語を習わせるというのは、いいお父さんだと思います。有識者の中には、小学校で英語を学ばせることを批判する人もいますが、就学以前の子供の場合はべつの話です。この年齢の子供さんに文法まで教えるというのは無理でしょう。それよりも「楽しく英語のシャワーを浴びる」ことに徹した方がよいと思います。問題は5,6年後です。このころになると、日本語でもかなり「理屈」が言えるようになり、抽象的な思考も可能になります。そこで「文法教育」にとりかかるといいと思います。ひとつのアドバイスとしては、「いま習っていることをすっかり忘れてしまっても気にしない」ことです。私の友人たちの中には英語圏で子供を産み、育てた人もたくさんいます。彼らの嘆きは、「うちの子らは折角あちらで覚えた英語を帰国したらすっかり忘れてしまった」というものです。しかし、忘れたはずでも、発音だけは現地人ふうにきれいにできるそうです。さらに、聞き取り能力も日本だけで育った子より優秀だと聞きます。10歳くらいになって急に英語に興味を持つような家庭教育ができることが望ましいですが、こうした「動機づけ」については、あらためて書かせていただくつもりです。