View of the World - Masuhiko Hirobuchi

June 28, 2016

「大陸は孤立する」というメンタリティ -

前回の記事を補充する解説です。EUから「離脱する」と投票した人々の胸の内には、イギリスに住んだ経験のない人にはどうにも理解しがたい感情がくすぶっていました。それを最もよく示した例が20世紀の初頭にありました。英仏海峡に濃霧が突然垂れこめたのです。その時、保守系でインテリ層向けの新聞「デイリーテレグラフ」は、いち早く一面トップで「海峡に霧 大陸は孤立!」という記事を載せたのです。ラジオがまだ生まれていない時代で、物や人間を運ぶ手段は船だけでした。我々の感覚では、孤立するのはイギリスであって、ヨーロッパ大陸ではないように見えます。しかしこの新聞は、まったく悪びれることなく、こう断言したのです。世界の中心は我らであって、霧が晴れないために困窮し、孤立するのは、ヨーロッパ大陸の方だということを、冗談なのか本気なのか、独特の皮肉なのか、負け惜しみなのか、よくもこうさらりと言えるものだ、ということで、大きな話題となった記事でした。今回のEUからの離脱に賛成した人々の胸のそこには、この100年以上も前の新聞記事に似たメンタリティが残っていたと言える思います。ずいぶん時代おくれで、国際音痴も甚だしいメンタリティですが、イギリスの非インテリ層の発想は大体このようなものです。

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