View of the World - Masuhiko Hirobuchi

November 19, 2016

高校生のご質問へのお答え (1)南シナ海の超重要性 -

結城様 お待たせしました。11月2日のご質問にお答えします。「なぜ、日本が南シナ海の問題に口を入れるのか」と聞いてくるご友人や、「中国と武力衝突を防ぐために尖閣諸島を中国にあげるべきだ」と主張する大人や国会議員がいる、というご指摘についてです。こういうことを言う人々は、日本のメディアですでに報道されている「中国の本音・本当の姿」というものを全くご存知ないと見えます。もし中国が主張する南シナ海の人工島(元々は「岩」)が「中国の領土だ」と日本を含む各国が認めたら、どういうことが起こりますか? 中東から日本・台湾・韓国などへタンカーで運ばれて来る原油は、その航路のほとんどがいわゆる「公海(どこの国の領海でもない公の海)」です。公の海は航行の自由が認められています。しかし中国が作った人工島が中国の領土だということになると、その内部へ入ってくる船は「領海を侵犯した」ことになり、いつ中国の軍艦から砲撃を受けても文句は言えないことになります。石油が来ない場合の恐怖をあなたのご友人は考えたこともないのでしょう。日本からアジア各国や中東へ輸出する自動車や工作機械などの輸出も今までのように自由には行きません。人工島が領土だとなると、その上空は中国の領空ということになります。主権国家の許可・了解を得ずに領空を侵犯した飛行機は、撃ち落とされるのが世界の常識です。こういう事態を十分に考えた上での発言なのかどうかを、ご友人たちに聞いてみてください。尖閣については次回にお答えします。

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COMMENTS

1 : 小龍 : November 22, 2016 10:49 AM

ご無沙汰しております。

ウォールストリートジャーナルなどアジア以外の海外メディアもこの問題を取り上げていますが、国内の報道機関はもっと身近な問題として報道すべきだと思います。

世界のオイルタンカーの半数は南シナ海を通っているとも言われておりますし、この海域は世界の輸出輸入産業にとってはまさに生命線・大動脈ともいえる地域です。
仮に中国の許可なしにこの海域を素通りできないとなると、大幅な迂回路を設定せざるを得ない状況になり、日本側の見通しでは1か月半は今よりも輸送期間が伸び、それに比例して運搬費、人件費が2倍以上に膨れ上がる想定とのことです。

日本が現状でどれほど輸入に頼っていて、如何に中東からの原油が日本の産業に寄与しているのかを知っていれば、とてもじゃないですが、「何故南シナ海の問題に日本が口を出すのか」などとは言えないと思います。

中国が南シナ海を強引に抑えようとしていると言う事は、日本の喉元に銃口を突きつけられたようなものであると言えます。

2 : 湖の騎士 : November 22, 2016 03:58 PM

小龍様 私のやや抽象的な説明よりも、貴方の具体的に数字を挙げての解説の方が迫力・説得力があります。これで質問をしてきた高校生も、友人たちを説き伏せることができるでしょう。とにかく日本の読者・視聴者・記者・キャスターたちは、「中国の脅威を感じることができない病気」にかかっています。自分の無知と不感症を棚にあげて、自分はハト派であり、平和主義者だとして、少しでも厳しい現実に目を向ける人々をタカ派扱いします。こういう国際音痴が実権を握っている野党はまず政権を取れないでしょう。同じような考えをもつ新聞の発行部数はどんどん減っているそうです。

3 : 結城 : November 22, 2016 06:02 PM

廣淵先生こんばんわ。
ありがとうございます。
返事が遅くなり申し訳ありません。
(すみません、私は現在大学1年です。報告をせずに書いてしまいました。18歳の大学生です。)

やはり、私が思っていたことと同じでした。
日本はエネルギーの分野で他国に頼らざるを得ない状況において、
そのエネルギーのもととなる原油のタンカーを止められた際には、相当、日本にとってダメージがあると思います。

言い換えれば、もし仮に日本と中国が衝突あるいは戦争の一歩手前になった場合、中国からすれば日本本土や日本周辺の海域を攻撃するよりも、この南シナ海を閉鎖すれば日本の戦う能力を奪えますよね。(もちろん日本政府もあの手この手で対策を考えると思いますが)このことを考えると、黙って見ることはできないと思うのが日本国民の考えですが、どうやら僕の周りにはあまり関心がない人が多いようです。


4 : 湖の騎士 : November 22, 2016 11:33 PM

結城様 大学1年生ということになると周囲にはもっと世界が見える人がいてほしいものです。石油が日本に入ってこなくなると、「相当な打撃」どころではありません。日本は死にます。貴方の周囲の呑気な学生たちは、日本経済が立ち行かなくなり、電気も来なくなり、電車が止まり、コンビニなどに行っても食べる物が売っていない状態を想像できないようです。次回の記事に注目していて下さい。

5 : 泥田の落ち武者 : December 7, 2016 07:02 PM

結城様

マハンの「海上権力史論」や地政学の本などをお読みになる事をお勧めします。

出来ればクラウゼヴィッツの「戦争論」の入門書なども併せて読まれるとより理解が深まるかと。

古臭い古典と思われるかも知れませんが、「狂犬」と言われる新国防長官候補、マティス元海兵隊大将は「戦争の本質は変化していない」という戦争観を持つ人物と知られています。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48506

古来、歴史を変えるような戦いはほぼ同じ場所で繰り返し起きている、という事実はそれを傍証するものでは?

6 : 湖の騎士 : December 9, 2016 07:48 PM

泥田の落ち武者様 若くて希望があり未来もある結城さんへのまたとないアドバイスを、彼に代って御礼申し上げます。(結城さんもお礼を書いてください)。参考になると思われるのは、この2著は名著の中の名著とされていることです。昨年の安保法制騒ぎで、「これらの法案が通れば、日本は戦争に巻き込まれる」とか「安倍総理は日本を戦争のできる国にしたがっている」などと、民衆を騙し煽るような言を吐いたいわゆる「リベラル」たちは、まずこの2著を読んでいないだろうということです。彼らには論争をする前の「知的部品」が足りません。この2著についての私の「師匠格」は、1988-89年にかけて世界的なベストセラーとなった『大国の興亡』を書いたエール大学教授のポール・ケネディです。私がテレビ朝日国際セミナーの講師として日本に招いた時からの親友であり、若き先生です。